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ルイヴィトンモノグラムパンプキンドットヤヨイクサマジッピーウォレットブルーm60448編集

 顔面はマユに殴打《おうだ》されたのか、右側《がわ》が腫《は》れ、頬《ほお》の盛り上がりに眼球が役割を邪魔されつつある。  菅原《すがわら》になくて、こいつとの対峙《たいじ》にあるもの。  ちっぽけな罪悪感、彼女の母親への多大な恩義、僅《わず》かな後ろめたさ。  小心の震《ふる》え。 「勘違《かんちが》いも程々《ほどほど》にしとけよ、いい加減な噂《うわさ》に踊《おど》らされて。いいか、お前の母親を殺したのは僕なんだよ! 僕が生きる為《ため》に死んでもらったんだ、マユは関係ない!」  手元の武器が柔《やわ》らかめの枕《まくら》ぐらいしかなかったので、僕らしく嘘《うそ》で代用した。 「嘘つくな!」  即座《そくざ》に手短に切り返してくる。窓に手を突きながら立ち上がり、また噎《む》せる。  銀色の刃《やいば》を正面に構えながら、妹は弱々しく顎《あご》を上げた。  涙目《なみだめ》を、こさえて。 「お兄ちゃんは、そんなこと、しない」  こっちの脳をねじ切る心算があるとしか思えない台詞を吐《は》き出してきた。  ……今更《いまさら》、そう来るか。  けど、それは既《すで》に杏子《あんず》ちゃんとの交流で、手垢《てあか》だらけの体験となっている。  そんな風に呼ばれても感慨《かんがい》のないこと、分かってるんだ。  しかし何とも僕らに相応《ふさわ》しい、最低な使われ方をしたものだ。  ここで良質の思い出の一つでも語れば効果的なんだが、生憎《あいにく》と生傷《なまきず》の交流しか重ねてこなかったんだよな。 「そうだよそうだよ、そうだよあんた、あたしのお兄ちゃんなのになんで、そっちにいるの他人を庇《かば》ってるの? 頭おかしいんじゃないの? そうよおかしいよあんたの家族はみんなそうじゃない! あたしを寄って集《たか》って苛《いじ》めて! あんたは何にもしてくれないし、お母さんだって! お母さんだって嫌《きら》いもう嫌い! あんたも! 一回ぐらいは助けてくれてもいいじゃない! あんたなんかお兄ちゃんじゃない! 出来|損《そこ》ないが! 死んじゃえ、死んじゃえよぉ!」
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