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ルイヴィトンヤヨイクサマパンプキンドットジッピーウォレット編集

「それは」  光秀は苦笑した。 「士に対する賞《ほ》め言葉ではございませぬ。士は三日見ざれば刮目《かつもく》して見るべしと古典《ほんもん》にもございます。変わるこそ漢《おとこ》たる者の本望でございましょう」 「いいえ、容貌《かおかたち》のことを申しているのです。すこしも変わりやらぬ」  そのあと、ふたりは斎藤山城入道(道三)の思い出について語りあった。 「あれに」  と、濃姫は袖《そで》をあげて庭を指した。 「桜の老いた樹《き》がありましょう。亡き父が青《せい》嵐《らん》と名づけて愛《かな》しんでいたものです。あの桜だけが、いまは遺《のこ》っている」 「山城入道様と申せば」  と光秀はいってから、言うべきかどうかをためらっている様子だったが、やがて思い決したように、 「京でお万阿《まあ》様にお目にかかったことが二度ばかりございまする。大変、もてなしをお受けいたしました」 「お万阿様とは、父上が京に住まわせていた真正《まこと》の御内儀、というお方ですか」 「はい、油問屋山崎屋庄九郎の妻」 「聞いています」  濃姫は、楽しそうに微笑《わら》いはじめた。 「父上がよくわたくしに話してくれましたので」 「山城入道様が?」  光秀は驚いた。自分の京での隠妻《かくしづま》のことをぬけぬけと娘に語ってきかせるとはいかにも道三らしい。
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