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2015-02-07 15:28    ルイヴィトンモノグラムミニショルダーバッグ
「それなら、猶更仲睦じいというものだ」私は煽った。  それから間もなく夏休みになって、江藤君は東北の郷里へ帰省していった。しかし江藤君からは、無事帰着したという葉書が来たきり、何の音沙汰もなかった。品ちゃんが出す手紙の返事も来なかった。夏休みがすんでも、江藤君は東京に帰って来なかった。十月になっても帰って来なかった。品ちゃんはひどく憔悴して見えた。只一心に、江藤君の帰って来るのを待っている風であった。顔の皮膚がたるみ、唇の色も褪せて見えた。元気のない応対ぶりで、時には自棄酒に酔っ払って、客に絡んでいることもあった。私は品ちゃんの顔を見る度に、江藤君の消息を尋ねてみたが、彼女は溜息交りに、「何んにも言って来ないわ」と答えるだけだった。江藤君は良家の息子と思われた。容姿もそうだし、今日学生の身分で酒が飲めるのは、良家の子弟か、アルバイトで荒稼ぎする者以外にはないであろう。江藤君は、多分両親の反対に会って、飲み屋の女中と結婚することを思い止まらされているのではないかと思われた。手紙を書くことも監視され、東京へ出ることも禁足されているのにちがいなかった。  二学期も終りに近づこうとする或る晩だった。私は品ちゃんと向き合って飲んでいた。その時電報が配達された。品ちゃんに来たものだった。品ちゃんは手元を慄わせ、封を開くのももどかしそうだった。電文を読み下すその顔を、私は見ていた。一瞬、それはキッとした顔だった。が、忽ちそれは、破顔になった。 「ああ、よかったわ」品ちゃんは、金冠の見える奥歯まで開いて、大きく笑いながら、咽喉に詰まっていたものを叩き下すように胸のあたりを叩いた。 「江藤君からだろう。どう言って来たの?」と私は言った。 「明日の朝七時に上野に着くって」 「それはよかったねえ」  品ちゃんは奥に向って、マダムを呼んだ。 「マダム、江藤が帰って来るわ」 「そう。江藤さんが帰って来るの。よかったわねえ」と言いながらマダムが顔を出して来た。 「明日の朝七時に上野に着くの。電報が来たわ」 「そう。よかったわねえ」 「マダム、江藤が帰って来るわ。江藤が帰って来るわ」  品ちゃんは感極まって、マダムに抱きついた。そして、その胸に顔を押し当てて、すすり泣いた。  多代ちゃんという女の子もいた。多代ちゃんのいた時分が、「深雪」の全盛時代を現出していたようだった。元海軍少佐だったという美丈夫、娘が東大に行ってるのを自慢にしていた株屋の重役、鮨屋のおっさん、或る銀行の頭取室秘書、或る通信社の運動部の若い記者など、みんな多代ちゃんに気があるらしい様子だった。多代ちゃんは、映画女優山田五十鈴まがいの顔立ちだというので評判だった。眉が濃く、長めな顔で、白い犬歯が現れた。娯楽雑誌の附録の流行歌謡集を持っていて、「フランチェスカの鐘」だとか「あこがれのハワイ航路」などという歌を、厚みのあるからだから出る澄んだ声で、表情たっぷりに歌って、客を聞き惚れさした。殊に「フランチェスカの鐘が鳴る」という歌は、私の耳にも今でもひびいているようである。 「多代ちゃん、君はいつも陽気でいいね」といつか私が言ったことがあった。 「先生、そう見えて? これで、わたし、悩みがあるのよ。千葉の田舎には、坊やがあるのよ。」  客がガヤガヤ騒いでいるのに紛らして、多代ちゃんはそう打ち明けた。私には意外であったが、そう言われてみれば、子供を産んだことのある女の身のこなしに見えた。