ルイヴィトンアーツィーアンプラント
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null その腕は、明らかに人類のものではない。だが、断じて機械などではなかった。美しい半透明の皮膚《ひふ》の下に、骨や血管が走っているのがわかる。人間以外の、いや、地上にいるいかなる生物のものとも違う�手�だ。 「スクリーミング……フィスト?」 「そう。それがあたしの能力。そして、あなたの中にも同じような力が眠《ねむ》っているわ。レベリオンとしての能力がね」 「……なんだよ、それは? 俺《おれ》にはそんなわけのわからない力なんて……」  恭介は、そう言いかけてはっと気づく。  何度も恭介を襲《おそ》った不思議な感覚——圧倒《あっとう》的な反応速度。そして、あの異常な治癒《ちゆ》力。それらが、彼女のいうレベリオンの能力というやつなのだろうか?  だが、なぜだ。いつ、自分がそんな得体の知れない存在に変わってしまったというのだ? 「どう? レベリオンになった気分は?」  香澄《かすみ》が恭介《きようすけ》のほうへと歩いてきた。その表情が、少しだけ寂しげに曇《くも》っている。 「レベ……リオン……」 「意味は、制御《せいぎよ》できないもの、不治《ふち》の病、そして反逆者………人類に対する反逆者《レベリオン》よ」  香澄がつぶやいた。  風が吹いて、彼女の髪が翼《つばさ》のように広がっている。  夕闇《ゆうやみ》が街を覆《おお》い始めていた。残照を受けて、空は血の色に染まっていた。  香澄の美しい瞳《ひとみ》が、静かにそれを見つめている。  恭介は思った。彼女はやはり天使だと。  血まみれの、紅《あか》い天使。  運ぶものは、死。